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技術ウォッチ/人を抱き上げる介護ロボ

  技術ウォッチ/人を抱き上げる介護ロボ
             東海ゴム、安全で操作簡単
                            (日本経済新聞 平成21年12月5日)

 介護ロボットの研究開発が加速している。理化学研究所と東海ゴム工業は寝たきりの人を軽々と抱き上げ移動させるロボットを試作、パナソニックは車いすに早変わりするロボティックベッドを開発した。開発担当者によれば「誰でも」「安全に」使いこなせるのが特徴だ。

 9月下旬、特別養護老人ホーム「ゆうあい」(愛知県小牧市)の職員数人が名古屋市にある理化学研究所を訪れた。介護ロボット「RIBA(リーバ)」に試乗し、性能を確かめるためだ。
理化学研究所ホームページより
http://www.riken.jp/index_j.html
プレリリース/介護支援ロボット「RIBA(リーバ)」による移乗作業の実現
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2009/090827/detail.html
 「背中が痛い」「首が疲れる」などの注文がついたが、操作性の評判は上々。「将来は介護現場でも十分使いこなせそうだ」との感想に、理研の向井利春チームリーダーは胸をなで下ろした。白クマのぬいぐるみのようなリーバは身長約140センチで体重約180キログラム。愛嬌(あいきょう)のある姿に似合わず力持ちで、60キログラムの大人も軽々と”お姫様抱っこ”できる。


 ロボットで人を抱き上げる作業はタブーだった。重さの10分の1程度が力の限界で、誤作動したときの危険性も考慮しなければならないからだ。

 向井氏らは大きな力を発揮できるように、モーターの組み合わせ方を工夫。両腕の表面には四百数十個のセンサーを埋め込んだ。介護者の力加減をリーバが判断し、持ち上げる動作に入る。手を外すと止まる。安全性を確保しながら操作性をよくしたという。

 こうした機能を加えても重くならないよう、自動車向けに丈夫で軽い高密度樹脂を手掛ける東海ゴムと協力。この樹脂を腕の骨格に採用、外装も特殊な発泡ウレタンを独自の配合技術で作り上げ、軽量化した。

 現在、乗り心地などを改善した次号機を開発中。ロボット事業へ新規参入を狙う東海ゴムの加藤錬太郎副所長は「数年内に実証試験をし、実用化のメドをつけたい」と話す。

 高齢者の自立支援も大きな課題だ。パナソニックのロボティックベッドは音声認識技術を搭載し、介護者なしに声による指示だけでベッドから自動で分離。室内を動き回る車いすに変わる。同社ロボット事業推進センターの本田幸夫所長は「自分の力で動きたい人を支援するロボットの需要は大きい」と分析、2012年の製品化を目指す。・・・(新聞本文はまだ続きます)



【介護・福祉ロボット】
 要介護者の移動を助けたり、介護者の負担を軽減したりするロボット。電動車いすタイプや歩行訓練支援ロボットも含む。産業用ロボットと違い、高齢者らが直接触れる。このため誤作動などが起きないよう安全面には十分な配慮が必要と考えられており、経済産業省などを中心に安全基準づくりが始まった。


      (平成21年12月5日 日本経済新聞新聞 12面)


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