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介護用品と老人ホーム選び
山田養蜂場

  ウィンドウショッピングでストレス発散
介護を長くつづけるには要所要所にストレス発散の場を設けることです。それがなければ、自分を追い詰めてしまうだけです。

 私自身の経験を振り返ると、実母や義母の介護のときは、この「ストレス発散」が下手だったように思います。その分、そのあとの反動たるや、すさまじいエネルギーでした。実母が亡くなったあとは、やたらと元気にあちらこちらを動きまわっていたし、義母が亡くなったあとは、講談師にまでなってしまったのですから。

 その後、さまざま人生経験を積んだせいでしょうか、今回の介護では、ストレス発散がかなり上手になっています。
 
 たとえば介護がスタートしたばかりのときに、娘とよくやっていたのが、ウィンドウショッピング。それも、青山とか原宿とか高級感のあるオシャレな街に行くのです。まったく別世界へ行くことで気持ちが高揚し、介護の現実を忘れることができます。

 ただし、高級なお店でウィンドウショッピングをしていても、実際に買い物ができないので、そこでストレスがたまります。そこで、今度は100円ショップです。100円ショップなら、たくさん買っても金額はたかがしれています。そこで、気に入ったものをいろいろ買うことで、気持ちがかなりすっきりしました。

        (「ふまじめ介護」 田辺鶴瑛 主婦と生活社)

本人の望む生き方を優先する介護を

高齢の家族が倒れると、否応なしに「介護」の世界が始まります。いざそうなったとき、高齢者と家族との間で意思の疎通がないと困ることになります。介護は、介護される高齢者が望む生き方を尊重することから始まるからです。介護方針を家族の都合だけで決めてしまうと高齢者に不満が残ることになります。理想を言えば介護者が元気なうちに本人の希望を聞いておくことが大切です。在宅か施設か、一人暮らしか同居か、同居なら誰と暮らしたいかなどのことを本人が元気なうちに聞いておけば対処しやすくなります。

また、子供同士連絡を取り合ってそれぞれがどういう役割をするか、また経済的な負担はどうするかなどを決めておくといざというときに慌てないですみます。

家族だけでなく、本人にも心構えをしておいてもらうことも大切です。面と向かって言いにくければ、デイサービスを一緒に見学に行くというやり方もあります。デイサービスとは、特別養老老人ホームや老人デイサービスなどの施設に通って、入浴や食事などの介護を受けるサービスです。いずれお世話になる施設なのだからと今のうちに見学する気分でと誘ってみるといいでしょう。元気なうちにいくつか行っておけば、本人も自分の好みが分かってくるのではないでしょうか。カラオケが好きだという人もいれば、じっくり絵を書いたりするのが好きという人もいるでしょう。

泊まりで預かってくれるショートステイの見学も役に立ちます。気に入りそうな施設に体験ショートステイを申し込んでみるといいでしょう。元気なうちから少しずつ外泊に慣れてもらうようにしておけば、急に行くことになって問題を起こすようなことがなくなります。

      

介護をもっと前向きに

”介護”というと、本人や家族にとって「つらくて苦しい」という思いがどうしても先に立ってしまいます。「先が見えない」という絶望感が、つらさ、苦しさを際立たせているのでしょう。もし、日々の介護で本人が自分でできることを少しでも増やしていけたなら……そうした”目標”があれば、本人や家族の心は前向きになれるはずです。

前向きになれば、心に余裕ができ、目の前のつらさや苦しさはずっと和らぐはずです。この流れを大切にしたいものです。

介護というと、「できないことはあきらめて、何から何までやってあげる」というイメージを持つ人が多いようです。そのため、”できること”にまで手を出してしまうケースがあります。

たとえば、トイレが間に合わずに失禁してしまうと、すぐに”おむつ”をはかせます。おむつに頼り切ると、”トイレに連れて行けば自力で排泄できる”ことを無視し、そのまま寝たきりにさせてしまいがちです。つまり”本人ができること”まで奪ってしまうわけです。

寝かせきりにされた人は、全身の筋力が衰えます。筋力が衰えると自分で寝返りをすることが難しくなり、体を動かさないので食欲も衰え、栄養バランスも悪くなります。

その結果、褥瘡(じょくそう)ができやすくなり、最悪の場合、命にかかわるケースも起こってきます。この”寝かせきり”にすることによって重度化する悪循環を生活不活発病(廃用症候群)といいます。実は在宅における介助者の負担を重くしているケースの多くが、この生活不活発病なのです。




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